シナリオ習作集②『聖域、その強迫』
最近通っているシナリオ教室で提出した課題を載せてみました。
忌憚のないご意見お待ちしてます。
課題『迷っている人』
(20X10文字の原稿用紙3枚)
※課題『迷っている人』のポイントは、何故迷うのか、の事情(動機)、そして迷っている姿を描くことです。又、等価値の二つ以上のものの選択で迷っている主人公の様子を表現してもらうのが目的です。
題名『聖域、その強迫』
● 人物 ●
岩戸晃(15)ひきこもりの少年
新入生たち
▼ 本文 ▼
○桜の並木通り
昼過ぎ。春の陽光が柔らかく降り注ぐ。
穏やかな雰囲気の住宅街の堀の深い川。
堀の土手には桜の並木が植わっている。
桜の花は散りかけ、風が吹くと花弁が一斉に宙へと舞う。
道を賑やかな歓声を上げる一団が通る。
ピカピカの黒い学生服。近所の中学校に通い始めた新入生たちだ。
新入生たち「(ワイワイと賑やかな声)」
○マンション三階・晃の部屋
窓から通りを見つめる岩戸晃(15)。
ため息をつくと、ベッドに尻をペタンとつけたまま上半身だけ90度に捻る。
薄暗い部屋には足の踏み場もない散らかりよう。ベッドの傍らに山積みの本。
段ボールが山積みになった学習机。
晃の思いつめた表情。鼻息が荒くなる。
急に立ち上がり、部屋から出たすぐの玄関へと向かう。
○同・玄関
玄関のドアノブを力強く握る。
そのまま固まって動かない。
すると晃は何度もノブを上下し始めた。
晃「外へ出よう、外へ出よう、外ヘ出ヨウ……」
同じ言葉と動作を何度もくり返す。
やがて急に膝を折り、泣き崩れた。
晃「お…ぅおお!。おおお…」
両手でノブを握りしめたまま、細かく震え、固まり、動けずにいた。
◆ 訂正 ◆
※ 人物表の『人物』→『人 物』(ひとマス空けた方が見やすい。)
※ 本文には必ずノンブル(何ページ目か)を記入してください。(付け忘れ)
※ 本文『玄関のドアノブを~』→『晃は玄関のドアノブを~』
※ 本文『すると晃は何度もノブを上下し始めた』→『晃は何度もノブを上下し始める』
『泣き崩れた』→『泣き崩れる』
『動けずにいた』→『動けずにいる』
(すると、は不要)(ト書き現在進行形で書くこと)
※ 『!』の後に句読点は不要。
※ 『…』は2マス使ってください。
★ 講評 ★
○外に出たい、でも出れない主人公の少年の迷う様子(苦悩の様子)がよく描けています。
○ト書が少し文学的すぎると思います。
今回のト書の技術の講義でコツを掴んで下さいね。
シンプルに、わかりやすく書く、がポイントです。