シナリオ習作集③『ハッピートレイス・轍の始まり』

最近通っているシナリオ教室で提出した課題を載せてみました。

忌憚のない意見をお待ちしております。

 

課題『始まり』

(20X10文字の原稿用紙4枚)

※課題の『始まり』のポイントは、何かのきっかけから意欲が立ち上がるさまを描くことです。

ドラマは主人公の意志と欲望で動きます。

 

タイトル 課題・『ハッピートレイス・轍の始まり』

 

◆ 人 物 ◆

道上歩美(27)休業中の元No.1ホステス

女性① 二人とも20代前半の女子大生

女性⓶ 休学して外国自転車旅へ出かけた

 

▼ 本文 ▼

 

ニューヨーク市・喫茶店・店内

   道上歩美(27)と二人の日本人女性がティーテーブルを囲み、地図を眺めている。

歩美「いい?あなたたちが自由の女神像を見てきたバッテリーバークはここ。今はここ。セントラルパークはまだ2キロも先よ」

女性①「へぇ~、そうだったんですかぁ」

   女性⓶が女性①と顔を見合わせながら、

女性⓶「久しぶりの大都会はやっぱり迷うね」

歩美「それにしても私、あなたたちを普通にこの辺りで暮らしている人かと思ってたわ。

 だってそんな恰好をしているんですもの」

   女性達のサイクリングウェアを眺める。

女性①「私こそ、お姉さんをブロードウェイで活躍中の女優さんかと思ってました~」

   歩美は膝元の鰐皮ポーチを撫でている。

歩美「お二人はどれぐらい旅をしているの?」

女性①「まだまだ半年ぐらいですよ」

歩美「まだって…相当長いと私は思うけど?」

女性①「はい、でも何年も旅している女の人、沢山会いました!日本人は珍しいですけど」

歩美「女の人で?」

   二人が頷き、女性⓶がしみじみと呟く。

女性⓶「ほんと、世界って、広いですよね」

   歩美、鰐皮を撫でる指先が固まる。

歩美「…あなた達、泊まる場所が決まっていないなら、私の住んでいるホテルに来る?」

女性⓶「…嬉しいです。でも自転車を部屋に上げてもいい安めの宿を探すことにします」

歩美「そう、…残念ね。見つかるといいわね」

   それから少し言葉を交し席を立つ歩美。

   女性達はケータイを取り出すと真剣そうに、でも楽し気に調べ物を始める。

   歩美は女性達を眩しそうに見つめる。

 

○同喫茶店・外

   街路樹に繋がれた二人のロードバイク

   擦り切れ色あせたサドルに歩美は触れ、再び眩し気な眼差しでジッと見つめる。

   踵を返すと再び喫茶店へ歩み出した。

 

 

◆ 訂正 ◆

※タイトルに『課題・』とつけるのは不要

※人物表の歩美について、『休養中の』は不要

※『○ニューヨーク市・』は切り離して別にし、まず先にニューヨーク市にいるという描写から始めるべき。

※?や!の後はひとマス空けること。

※『…』は2マス使うこと。 3点リーダーという『……』

※(それから少し言葉を交し)は削り、時間が経過したことを思わせる別の表現に置き換えてください。

※『○同喫茶店・外』の『喫茶店』は不要です。

※『歩み出した』→『歩み出す』 ト書は現在進行形で。

 

 

★ 講評 ★

 

○歩美が休職中であることはト書、セリフで描けばよいと思います。

 また女性①②ですが、セリフがあるのでフルネームと年齢を書いてください。

○人物表の説明の下には役者名が入るため、短くシンプルに書いた方がよいです。